ボーカルの居るバンド

ライブに行って「うーん、ちょっと違うんじゃないか??」と思ってしまうことがある。
歌入りの楽曲を演奏する場合、如何に歌を聴かせるかがバンドにとって最も重要な使命だと思う。
でもバックが立ち過ぎてボーカルが埋もれてしまっている演奏を耳にすることが結構あるのだ。
わざとボーカルをバックの中に埋もれさせて混沌とした雰囲気を演出するような楽曲も有ろうが、あきらかにそうではない楽曲でボーカルが良く聞こえない演奏を聴き続けるとだんだんとフラストレーションが溜まり、そこに居ることすら辛くなってくる。
これは一概にバンドの責任とは言い切れなくて、その箱のPAの責任も大きい。
とは言え、やはりバンド側に「歌を聴かせたい」という意識が無ければPAもその意志を汲む事は無かろうし、そういう表現意志の有無はストレートに聴衆に伝わるものだと思う。
歌を聴かせるという観点で最適な音量、最適なバランス、最適な音質を心がけると自ずと歌手の表現意図が見えてくるものではないか?

この時にベースが担う責任はかなり重要なものだと思う。
常に共演者の演奏に敏感で意識しているメンバーで構成されたバンドだと、特にダイナミクスの点でベースに敏感に反応することを実感している。
だから大仰な演出で野暮ったくなるかどうか、一本調子でつまらないバッキングになるかどうか、そういうことの原因にベースがなる可能性が非常に高い。
自分の拙い経験上では、まずドラムスが最初に反応し、他の演奏者がそれに乗って来る。
たぶんそういう傾向はどこでも有るんだと思うがどうなんだろうか?
CDやライブや、いろんな演奏を聴くとそんな気もするし、でも聴き手にそういう事を気づかせないような演奏が凄い演奏であるような気もするし、今一つ確信には至らないけど...

ライブで素晴らしい歌を聴かせるバンドやPAのオペレーション、永遠のテーマである。